フリーランスに重要な健康保険の選択|国民健康保険・健康保険組合・任意継続


フリーランスとして働く時におすすめの健康保険

それまで会社勤めをされていた方であれば、ほとんど気にすることのなかった健康保険ですが、一念発起して「これからはフリーランスとして生計を立てていこう」と決めたのであれば、絶対に考えておかなければいけないのが「どの健康保険に加入するか」という事です。

健康保険の制度に詳しくない方は「え?健康保険って加入する先を選べるの?」なんて思われる方もいらっしゃるかもしれません。

一口に健康保険と言っても「市区町村が運営する国民健康保険」と「各事業者が加入する健康保険協会や健康保険組合」とで大別されます。健康保険組合等はさらに種類が分けられますが、ここでは健康保険組合としての一括りでお話を勧めさせていただきます。

さてでは、フリーランスにオススメの健康保険どれになるのかという点が気になるところですが、基本的に会社を退職した人は国民健康保険に加入する事となります。

フリーランスの職種によっては他にも選択肢はありますが、退職したからと言って自動的に切り替わるわけではなく、ご自身での手続きが必要となる上、それまで意識しなかった保険料がどのように変化するかをご存知ない方もいらっしゃる事でしょう。

そこで、フリーランスの方は一体、どの健康保険に加入できて、何が最適なのかといった点を踏まえて健康保険の種類をご説明させていただきます。

1:国民健康保険

国民健康保険は、会社勤めをしていない一般の方や自営業を営む人が加入する、国民皆保険の大元となる保険制度です。
国民皆保険とは、全国民が加入して保険料を納める事で、お互いの医療費を支え合い、助け合おうという制度ですが、医療費だけではなく、高齢者医療、健康保持のための事業といったものもにも保険料は使われており、WHO(世界保健機関)では、日本の国民皆保険の制度は世界で最も素晴らしいと評されるほどです。

「国保」の名で誰もが知っている健康保険ですが、何やらポストに届いた支払い用紙を家族から渡されて、訳も分からずに郵便局に支払いに行ったなんていう記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では実際の保険料は一体いくらになるのでしょうか。

これは市区町村により差があり、高齢者が多く、医療機関を必要とする人口が多いほど保険料は高くなる傾向にあります。
具体的な数字で例を挙げるなら、仮に年収300万円の被保険者で独身の方の場合、高い地域で年間48万円、安い地域で22万円程度と、年間で20万円以上も差があります。
このように保険料が安い地域と高い地域では倍以上の差が出る事もありますので、フリーランスとして生活をする事となった場合、一度ご自身の保険料が今までと比べてどのように変化するのか確認してみると良いかと思います。

また、フリーランスの方の場合、加入できる健康保険の種類が限られる中で国民健康保険は一つの選択肢という事になりますが、場所を選ばない職種であって保険料を安く抑えたいという希望があるのであれば、保険料の安い地域に引っ越すというのも一つの手になるかもしれません。

2:健康保険組合

では、フリーランスの方は他に健康保険の加入先として国民健康保険以外にどのようなものがあるでしょうか。

実は、選択肢は非常に少ないというのが結論になりますが、フリーランスと言っても様々な職種があり、「デザイナー」「ライター」「エンジニア」「カメラマン」「音楽家」など、まだまだ多種多様な働き方があります。

ただし、これらの職業の方々の中には「文芸美術国民健康保険組合」に加入できる方がいらっしゃるかもしれません。
その気になる加入条件をですが、文芸美術国民健康保険組合というその名のとおり「文芸、美術及び著作活動に従事している、日本に住所を有する者とその家族」と定められています。

上記に挙げた職業は全て、この文芸美術国民健康保険組合に加入できる可能性があるのですが、もう一つ大事な加入条件があります。

「組合加盟の各団体の会員であること」

フリーランスとして働くつもりのある方であれば、何となく想像がつくかもしれませんが、各職業には必ずと言っていいほど「~協会」ですとか、「~連盟」といった、職業を同じくする方々で作られる団体があり、文芸美術国民健康保険組合に加入するためには、文芸美術国民健康保険組合に加盟している団体の会員である事も条件となるのです。

例えば、日本のアニメ文化が盛る上がりを見せている中で耳にしたことがあるかもしれないのが「日本アニメーション協会」ですとか「日本イラストレーション協会」といった団体です。
また、漫画家志望の方であれば「一般社団法人マンガジャパン」という団体もあります。
それぞれの団体会員を見てみると、やはり有名な方の名もあり、フリーランスの方は人脈を広げる事にも繋がる大事な団体であると言えるでしょう。

また、文芸美術国民健康保険組合は、保険料が安いという事でもフリーランスで活躍されている方には大変重宝されており、単身の方で年間20万2800円と一律で決まっています。
仮に家族がいらっしゃったとしても、お一人8700円と一律で定められていますので、まずは文芸美術国民健康保険組合に加入できるかどうかをご自身で確認される事をお勧め致します。

3:任意継続

さて、ここまで、フリーランスの方が加入できる健康保険として国民健康保険と文芸美術国民健康保険組合への加入についてご紹介させていただきましたが、他に健康保険に加入する方法はないのでしょうか。

今まで会社勤めをされていた方なのであればもう一つ方法があります。
それが「任意継続」という制度です。

この任意継続ですが、仕組みは簡単で、それまで勤めていた会社の社会保険に引き続き2年間継続して加入していられるという制度です。
加入条件としては、資格喪失の前日まで、つまり退職する前日までの間に少なくとも2カ月間の社会保険加入者であったことと、退職から20日以内に任意継続の申請を出しているという2つを満たす必要があります。
注意すべきなのは、保険料の支払いが1日でも遅れると、即刻脱退させられるという事です。
これは全国健康保険協会のホームページにもしっかり明記されており、国民健康保険であれば多少遅れがあったりしても、延滞金と一緒に支払いを行えば引き続き医療保険としての利用はできますが、任意継続の場合はそのような融通は聞きませんので注意が必要です。

国民健康保険との違いをご説明させていただいたタイミングで、もう一つ大きな違いをご紹介させていただきます。
それが実際の保険料についてです。
まず、国民健康保険は、加入者一人一人に対して保険料の支払いが必要となってきますが、任意継続の場合、国民健康保険にはない「扶養」という概念が存在するため、家族を養っているフリーランスの方であれば、家族の分の保険証も発行される上、保険料は変わりません。

また、任意継続とは、言い換えれば社会保険をそのまま継続するという事ですから、それまで勤めていた会社が折半で支払っていた分の保険料も自分で払うこととなりますので、簡単に言うのであれば給料から天引きされていた保険料がおおよそ倍になるという事を把握しておきましょう。

少々難しいお話になったかもしれませんので、以下のポイントについては最低限抑えておきましょう。

・任意継続で健康保険に加入していられるのは2年間
・保険料は、これまで給料から天引きされていた社会保険料の倍額
・退職後20日以内に申請。一日でも保険料の支払いが遅れると即脱退
・扶養の制度があるため家族の分の保険証が発行されるうえ、保険料が変わらず安心

国民健康保険と任意継続では保険料の計算方法が違いますので、どちらが安くて良いとは一概には言えません。

ただ、任意継続の場合、お住いの地域や前年度の所得によって保険料率が決まるのに加えて扶養という考え方あり、それに対し国民健康保険は扶養という概念はなく、家族の分はそのまま保険料として計算されます。

そういった点から任意継続の方が安く済む場合が多くあるようですので、フリーランスとして新たな生活を始める事を検討されている方はこの任意継続についても予め確認をしておくと良いでしょう。

4:健康保険の扶養家族になる

よほどの事情がない限りは国民健康保険、健康保険組合、任意継続といった選択肢がある事をご説明させていただきました。

しかしながら、フリーランスとして働き始め、最低限の生活ができる程度に稼げるようになったはいいものの、健康保険組合に加入できるあてもなく、会社勤めをしていたのが数年前。
その為、お高い国民健康保険料がお財布を直撃してしまうという方もいらっしゃるかもしれません。

このようにどの選択をしても保険料が高くなってしまうという結論に至る方は、安めに健康保険に加入する方法はないのでしょうか。

実は最後の砦とも言うべき方法が一つだけあります。
それが、「家族の扶養に入る事」です。

例えば、未婚の方でご両親がまだまだ働き盛りで社会保険の加入者という事であれば、扶養となって保険料の負担を一切なくすことができます。
また、ご結婚されている方でも、奥様が会社勤めをされていて社会保険加入者であれば扶養になることができます。

つまり、家族の中に社会保険加入者がいれば、その扶養となる事で保険料の支払いが無くなるのです。

ただし、必ずしも扶養になれるとは限りません。
扶養となる要件として、社会保険に加入している家族(被保険者)から見て三親等以内であり、自分の年収が130万円未満且つ、被保険者の1/2未満の年収であるという2つの条件を満たている事が必要となります。

昔と違い、今や様々な生活スタイルがありますから、「いつまでも妻の扶養でいる事は望ましくない!」なんていう人も少なくはなりましたが、フリーランスとして立派に生計を立てられるようになるまでは、家族の扶養に入るという事も大事な選択肢として存在している事も覚えておきましょう。

健康保険に入らなかったらどうなるのか

さて、ここからは健康保険の種類のお話からは少し離れ、もし健康保険に入っていなかったらどうなるのかという事をご説明させていただきます。

そもそも考えてみてください。
これまで会社勤めだった人は、風邪で寝込んでしまっても月額報酬として毎月お給料が手に入ったでしょうし、仮に派遣社員だったとしても有給休暇などを使えばお給料は確保できました。

しかしながら、フリーランスというのは、自分の身体がシッカリ動いてこそお金が発生するという大前提を絶対に崩すことができない職業です。
一日でも休めばその分がダイレクトに収入に反映するうえ、健康保険に加入していない事で病院にかかった時の医療費は倍以上になります。

実はこの医療費について勘違いされている方が多いのですが、「健康保険に加入しているなら、医療負担は3割で済んでいるが、加入していないなら全額負担だから、通常の医療費よりも7割多くなる」という解釈、これは間違いです。

健康保険が適用となる「保険診療」に対し、健康保険が適用されない「自由診療」というものがあり、健康保険に未加入の場合、自由診療という形になります。

この自由診療ですが、実は費用について制限がないため、医療機関側で自由に設定できるのです。

つまり、今まで3割負担であったから残り7割が上乗せされるという考え方は大きく間違っているわけではありませんが、医療機関によってはその費用が高くなる事から、支払いができなさそうな無保険者の診療を断ったり、支払いができるという話で診療をしてもらえることになっても、診療費が150%、200%といった金額になることもあるのです。

そもそも健康保険に加入するかしないかという考えは、国民健康保険の部分でもお話させていただいたとおり、国民皆保険制度から考えると「加入しない」という考え方はなく、基本的には強制加入です。これは、支払わないという選択肢はない税金と同じで税金と同じで、健康保険への加入も保険料の支払いも国民としての義務ですので、万一、保険料の未払いが続けば保険証の効力は無くなり、延滞金が上乗せされた金額の請求、挙句の果てには財産の差し押さえというケースに発展する事もあります。

こういった事から、フリーランスという道を選ばれる方は、必ずご自身がどの健康保険に加入すべきかをしっかり考えていく必要があるのです。

フリーランスの保険証の扱い

昔であれば、3つ折りになった厚紙が郵送されてきて、それを持って病院に行ったなんて記憶がある方も多いのではないでしょうか。
今ではカードタイプの保険証が一般的になっており、券面には「〇〇保険組合」といった保険者名などの記載があり、自分がどの健康保険に加入しているかを確認する事ができます。

では、フリーランスの保険証はどのようなものになるのでしょうか。

フリーランスだからと言って、特別に扱いが違うわけでなく、結局は国民健康保険、健康保険組合、任意継続、家族の扶養といったどの保険に加入しているかでその保険証の違いがあるだけであり、特別な様式の物が発行されるわけではありません。

国民健康保険であれば、紙でできたカードタイプの保険証であり、氏名、住所、生年月日、世帯主名、資格取得日や交付年月日などご自身の加入者としての情報がギッシリ記載されています。

また、文芸美術国民健康保険組合や任意継続、家族の扶養に入られた方に関しては、その組合で発行されたカードタイプの保険証というだけであって、特別変わったものになることはなく、本人確認書類としても有効です。

フリーランスの保険料の計算方法

文芸美術国民健康保険組合のご紹介の際に、保険料は年間で一律20万2800円(月額1万6900円)だという事はご説明させていただきましたが、では国民健康保険に加入する事にした場合、どのような計算方法になるのでしょうか。

これも各市区町村で保険料率が変わるのですが、仮に独身の方で40歳を越えていない場合であれば、基本的な考え方としては、以下の計算式がベースとなります。

「(昨年の所得金額-基礎控除額)×市区町村で定められた保険料率=所得割保険料」
「被保険者となる人数×市区町村により決められた均等割保険額=均等割保険料」

上記の二つを足した額がフリーランスの自身の年間の保険料となりますが、「後期高齢者支援金分保険料」が更に上乗せされます。その計算方法は上記にご説明した、市区町村で定めている保険料率と均等割保険額が低くなるだけであって、計算式は同じです。

つまり、「ご自身の保険料+後期高齢者支援金分保険料」がフリーランスとして働くあなたにかかってくる年間の保険料という事になります。また、40歳を越えますと、同じ計算で「介護分保険料」も上乗せされます。

また、任意継続を選ばれた方に関しては、一般的には住んでいる市区町村で定められている健康、介護保険料率を退職した時の標準報酬月額に乗じて計算されます。既述のとおり、これまで会社が折半で負担していてくれた分も自分で支払うようになりますので、その額は自ずと大きくなります。

<フリーランスの保険料は経費として計上できるのか>

それでは最後に、フリーランスとして覚えておきたい大事な点をご説明させていただきます。それが「健康保険料は経費として計上できない」という点です。

フリーランスとして働き始めると、光熱費や交通費、家賃などを経費として計算する事ができますが、そもそも国民皆保険として加入を義務付けられている健康保険は経費としては認められていません。そもそも、この健康保険を経費として計上して税率を抑えることができてしまうと、世の中のフリーランスを含めた個人事業者全員が保険料を支払っていないのと同じになりますので、国内の健康保険制度は崩壊してしまいます。

ただし、個別に入られた民間の損害保険や火災保険は経費として認められますので、健康保険とは別として覚えておきましょう。

良い健康保険に入ってフリーランスとして働こう

フリーランスとして新たな人生を歩むことをお考えの方には、「健康保険の事だけでこれだけ難しいのか」と、先々に待ち構える「考えなければいけない事」を重く感じた方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、絵の才能、執筆の才能、音楽を作る才能など存分に発揮できれば、会社勤めだったころに比べて大きく収入がアップする可能性があるというのは否めません。

しかしながら、給料の事はさておき、会社勤めをしていることの最大の恩恵は、この健康保険や年金などの手続きや支払いを会社が全部行ってくれていた上に、保険料の折半までしてくれていたという事だと言えるでしょう。
その上、福利厚生として有給休暇や各施設の割引、社宅や引越代の補助など様々な援助を受ける事が出来ました。

フリーランスとして働く道を選ばれるのであれば、これらを一切放棄する事となりますが、そもそもフリーランスとして働く事で一番に大事なことは何でしょうか。

それは、ご自身の健康です。

身体が資本とはよく言ったもので、健康さえ保てていれば、仕事に集中できますし、仕事が順調に波に乗ってくれば会社勤めの時では得られなかった満足感や充実感、そして何よりも高い収入を得る事もできるという可能性があります。

これらを達成するためにまず大事なのは健康。健康を維持するために必要な健康保険は、その費用、手続の煩雑さなどはあっても、先々の不安とを比べれば如何に大事であるかがお分かりいただけるかと思います。

ご自身がこれからフリーランスとして働くのなら、その職種によって適切な健康保険を選び、公正な手段で保険料を抑える事ができるのであれば存分に活用されることを強くお勧めします。良い健康保険に入って、思いっきり働ける環境を是非作ってください。

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