システムエンジニア(SE)の労働単価相場・平均年収


クラウド・コンピューティング、ブロックチェーン、IoT,フィンテック・・・新聞をはじめ、多くのメディアで取り挙げられるIT(ICT)の専門用語があります。それらを詳しく説明する専門誌も多くありますが、それらの作り手・担い手であるシステムエンジニア(SE)が敢えて取り上げられることは多くはありません。

ここではITを活用する新しい社会の担い手であるシステムエンジニアに着目したいと思います。切り口は、労務単価です。

システムエンジニアの労務単価相場

どれだけの人が労働単価を把握している?

現役のシステムエンジニアの中で、自身の労務単価を把握している人はどれほどいるでしょうか。システムエンジニアを雇用する企業や、クライアント企業・所属プロジェクトの諸々の諸条件によりますが、一般的にシステムエンジニア各々の月給(額面)を2~3倍した数字がクライアントに請求している自分の月単価と考えることができます。以下で、額面40万円を支給されるシステムエンジニアを例に考えてみましょう。

労働単価の計算例

例えば、人を一人雇う上で、企業は健康保険や厚生年金などの諸々を支払う必要がありますから、この40万に対して15%超を払いだしています。これが12か月分ですので、40万×115%×12ヶ月=552万円です。さらに、ボーナスが年に二回あると仮定しましょう。ここでは、一般的な目安である2か月分を上乗せします。

552万円+40万×2回=632万円。さらに、企業として人件費や固定費に投資を行いつつも、一定の利益を確保する必要があります。厚生労働省などの労働分配率(人件費/付加価値)調査によると、平均として170%であるといわれています。632万円×170%=1075万円になります。この1075万円が、企業がこの人に期待している1年間の売上げになります。月40万円の給与(額面)は、その見返りです。

この人が一年中クライアントとの契約下にありプロジェクトにアサインされていた場合は12分割、そうでなく時々“待機状態”があるのであれば、実質稼動月(例えば10ヶ月)で分割した金額が、クライアントに対して請求している(請求したい)労務単価であると考えられます。

つまり、この場合だと月々に90万円~100万円 といったところでしょうか。

システムエンジニアの労務単価相場はスキルや会社の規模によって変わる

上記のような計算方法で請求したい単価を定めるのですから、当然、システムエンジニアの力量や企業の業績や規模によって労務単価は変動します。

例えば、超エース級のシステムエンジニアがおり、給与の額面が80万円だったとしましょう。そのほかの条件がすべて同じだったとすると、このエースが納得のいく給与(年二回のボーナス含む)を継続的に支払うためには、企業はクライアントに年2150万円を請求しなければいけません。月の労務単価にして180万円~210万円です。

一方で、厚生労働省の調査によると、企業の労働分配率は資本金10億以上だと約60%にまで下がりますが、資本金1億未満だと約80%にまで増加することが分かっています。最初に挙げた事例に対して企業規模が資本金1億未満だったと想定しなおして、労働分配率が80%だったと仮定してみましょう。そうすると、(単純計算ですが)月の労務単価を95万円~114万円へと吊り上げないと、この労働分配率は維持できないことになります。

このように、システムエンジニア諸個人の力量が色濃く影響する給与と、また、企業の業績や規模に影響される労働分配率によって、企業がクライアントに求めたい労務単価は変動すると考えることができます。そして、このような前提に則り、システムエンジニアを新人レベルの“初級”、チームリーダーレベルの“中級”、プロジェクトマネージャーレベルの“上級”に分類した場合、以下のような労務単価になるイメージではないでしょうか。

  • 初級・・・60万~100万
  • 中級・・・80万~120万
  • 上級・・・100万~160万

クライアントが大企業で、その部長級や役員級と交渉をして大企業IT戦略に関わる枢要な議論に参加することが求められ、またそれを成し遂げるだけの力量がある場合、その人の労務単価は200万を超えることが想定されます。しかしその場合、そのような人はシステムエンジニアではなくシステムコンサルタントといったような肩書きになっているか、システムエンジニアだとしても役職付だと考えられます。

システムエンジニアの平均年収

上述してきたように、上下に変動はあるもののシステムエンジニアの労務単価は高いです。その一方で、システムエンジニアの平均年収はいくらでしょうか。手がかりとして、厚生労働省発表の“平成27 年賃金構造基本統計調査の概況”を見て見ます。

システムエンジニアの平均年収は約630万円

これによると、情報通信業の企業が6月に従業員に支払う想定だった月額(いわゆる基本給)は平均41万円とのことです。これは残業代や休日出勤手当てなどは含まれていません。また、付属の夏季・年末賞与表には、情報通信業のボーナス支給実態が記載されています。過去3年の平均値を算出すると、それぞれ約66万円ほどになります(計132万円)。それらを加算すると、おおよその平均年収が636万円相当であると考えられます。

休日手当や残業をどの程度見込むかは企業次第

ただし、これには休日出勤手当てや残業代が含まれていません。サービス残業という言葉が巷に流布してはいるように、休日手当てや残業をどの程度見込むことができるのかは企業によりけりです。また、場合によっては、ボーナスは出ないが残業代はつけれる、といった組み合わせも考えられます。こればかりは、一つ一つの企業を調査しないと明らかにはならない点だといえるでしょう。

システムエンジニアに資格は必要か

資格がある方が有利になることが多々ある

システムエンジニアが仕事をするに当たって、資格がないとできないような仕事はまずありません。ですが、資格があった方が何かと有利であることが多々あります。

資格を持っている方が有利になる例

例えば、インフラ系のエンジニアであれば、ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストなどの国家資格を有していることでクライアントからの信頼を得やすいでしょう。また、プロジェクト管理の経験が豊富なシステムエンジニアであれば、PMP(Project Management Professional)などのプロジェクト・マネジメント系の資格をも取得することで、社内評価であったり転職市場で有利な状況を作り出すことが期待できます。

ベンダー系の資格も有効

上記は国家資格・国際資格の類ですが、これら意外にもOracle SQLやERPベンダーのSAPなど特定のベンダーやアプリケーションに特化した資格も有効です。むしろ、これらベンダー系の資格はパートナーシップ提携に影響することがあるので、企業が自社のシステムエンジニアに取得することを推奨するようなこともあり得ます。

いずれにせよ、どのような資格も必須であるとまでは云いませんが、持っていて損をすることはありません。今任されている職務と将来のキャリアプランを考えながら、戦略的に資格取得に励むことは合理的だといえます。

システムエンジニアの仕事内容

システムエンジニアの仕事とは何か?そう問われると、土日も休み無く膨大なプログラムソースコードと格闘する風景を思い浮かべるのではないでしょうか。これは、繁忙期を迎えたプロジェクトにおいてシステムエンジニアが直面する、一つのイメージとして間違ってはいません。ですが、それ以外にもシステムエンジニアに期待される役割があります。

そもそも、システムエンジニアがプログラムソースコードを書き込んで実現するとある機能は、誰が、どのようにデザインするのでしょうか。勿論、大元の要求はクライアントから出されます。ですが、それはソースコードに落とし込むほどに精緻かつ、具体的なものではありません。一番最初にクライアントが描くのは、非常に抽象的な“希望”です。

まずはクライアントの希望を聞く

システムエンジニアは、まずはこの“希望”を聞くところから仕事が始まります。先に記したシステムエンジニアの等級に照らすと、上級に該当するようなエース級のエンジニアが、クライアントの希望や関係各所からのヒアリングなどを行い、ユーザーの“希望”を実現可能な“システム案”に具体化していきます。

もしこれがクライアント企業のCIOなどを相手にした数億円規模のプロジェクトになる場合、システム案に入る前に、“希望”について煮詰めるような機会もあります。ここにシステムエンジニアが参加することは稀です。システムが関係する話題ではありますが、システムの実装にはまだ関係のない段階だからです。

さて、上記の流れでクライアントと“システム案”について認識を合わせることができたとしましょう。そうすると、ここから先はthe ITな世界になります。

決定されたシステム案を煮詰めていく

一般的に知られるウォーターフォール(滝つぼ)モデルの開発方法に則ると、システムエンジニアは決定された“システム案”を実現するためのプログラムソースやシステム設計に取り掛かります。どのようなシステムがどのような条件で連携するのか、頻度はどの程度か、エラーがあったらどう処理するのか、などといったシステム実装の方法を煮詰めていくのです。つまり、“設計書”の作成です。

設計書を書く

最終的には、プログラムソースであったりシステム間の自動データ連動などの仕組みが出来上がり、合意された“システム案”にほど近いシステムをクライアントに提供しなければいけません。ですが、現物だけを引き渡してもクライアントには何がなんだかわからないですし、将来の保守メンバーも困ってしまいます。なので、“システム案”に基づいて“設計書”を書き起こし、第三者でも容易に理解できるようなドキュメントを一通り作成していくのです。

ウォーターフォールモデルでは、プログラムソース含めたシステム設定は、原則的にこの“システム案”“設計書”に矛盾が無いものである必要があります。

納期までにシステム設定を終えるためにひたすら作業する

この後に待っているのが、世間一般でイメージされる過酷なシステム屋の世界です。プログラム開発、テスト、デバッグ、リライ、テスト…時には“設計書”の誤りを直しつつ、場合によってはより良い“システム案”を提案しつつ、システムエンジニアは納期までに必要なシステム設定を終えるために奔走します。一部タスクはプログラマと共同で実施することもありますが、すべてをシステムエンジニアで賄うこともあります。それは企業の事情、プロジェクトの事情によって変わります。

文系でもシステムエンジニアになれるの?

文系のシステムエンジニアはたくさんいる

システムエンジニアという言葉の響きから、どうしても文系出身の方々にとっては縁遠い職業のように聞こえます。実際、システム理解やプログラム言語を理解できること、知っていることはシステムエンジニアとして不可欠な能力になり、理系出身者に一日の長があるのは事実でしょう。ですが、それでも、文系出身のシステムエンジニアは大勢います。

理系的なスキルばかりが必要なわけではない

先にも記しましたとおり、システムエンジニアが担うタスクは多岐にわたります。クライアントの“希望”をヒアリングして“システム案”に翻訳していく仕事があり、“システム案”から必要な“設計書”を作成するという仕事があります。これらの仕事は、クライアントやチームメンバーである他のシステムエンジニアやプログラマとのコミュニケーションが必要不可欠です。

そこで必要とされるスキル・ナレッジは理系的な内容ばかりではありません。会議においてはファシリテーションスキルが必要になりますし、必要な文章を纏め上げるドキュメンテーションスキルも必要になります。昨今では、クライアントが外資系企業であったり、プログラマとして中国・インドのリソースを用いることは稀ではなくなりました。その場合、プロジェクトの公用語が英語になるなどコミュニケーション上の難易度も格段に上がります。

そして何より、“希望”を伝えてくるクライアントが直面しているのは、システマチックな課題ばかりではありません。サーバーの増設であったりシステム切り替えなどの課題だけでなく、企業経営であったり内部統制上の課題の解決のためにシステムに目を向けることがあるのです。そのときに、いかにクライアントの課題を正しく理解できるかが重要になります。そこでは理系出身・文系出身の違いは差して大きなものにはならないでしょう。

文系でもシステムエンジニアにはなれる

上記の通り、システムエンジニアが理系出身者の専売特許ではないことは明白です。もちろん、システムのナレッジに長けた理系出身者がこれらすべてを万全にやり遂げることができれば、もしかしたら文系出身のシステムエンジニアには出番が無いのかもしれません。しかしその場合、そのようなシステムエンジニアの労務単価は飛躍的に高まることでしょう。その結果、いずれにしても、文系出身のシステムエンジニアが必要とされる続けることでしょう。

システムエンジニアとプログラマの違い

システムエンジニアとプログラマは共同作業をする場合がある

システムエンジニアとプログラマは一つのプロジェクトで共同して作業を行うことがあります。

一つの典型例は、クライアントの“希望”、“システム案”まではシステムエンジニアが作成します。その後、“システム案”をプログラマ部隊に共有して、彼らが“設計書”の作成およびシステム実装を行います。ここで、システムエンジニアはレビュアーとして設計書が“システム案”通りであるかの確認を行ったり、出来上がったシステムをテストしてクライアントの“希望”を見たいしているのかを確認したりします。

一方で、プログラマはあくまでシステムエンジニアのレビューを受けますから、彼らの責任範囲は“設計書”やテスト結果などに限られることになります。出来上がったモノがクライアントの“希望”に沿わなかったとしても、システムがしっかりと“設計書”や“システム案”の通り出来上がっている場合、プログラマではなくシステムエンジニアが責任を追うことになります。

このようにプロジェクトのフェーズ毎に役割と責任を分担することができます。そのため、大規模プロジェクトになると、全てのメンバーを自社だけで揃えず、関係のある外部協力会社やフリーランスのプログラマやシステムエンジニアを、限定された期間、限定された役割のためにだけ雇用することがあります。また、クライアント側も意図的に複数のIT企業に声をかけ、同時期に異なる機能の作成を依頼することさえあります。

システムエンジニアが全てをこなす場合もある

一方で、小規模プロジェクトになると、2・3人にシステムエンジニアが上から下まで全ての工程を完遂してしまうことがあります。特に、システムエンジニアだからプログラムソースコードをいじる事はない、というわけではありません。

システムエンジニアの魅力とは

スキルアップするごとに収入も増加する

システムエンジニアの最大の魅力は、本人のスキルアップと収入の増加が密接な関係にあることではないでしょうか。

先にも記しましたが、企業がクライアントに請求したい労務単価と、企業がシステムエンジニアに支払う金額の間には相関関係があります。そのため、システムエンジニアが自身の手取りを増やしたいと考えるのであれば、直接的にはクライアントに対する労務単価を高める必要が生じます。その意味で、スキルアップによって自身の付加価値を高めることが、そのまま労務単価の増大に寄与することになります。初級であれば中級を、中級であれば上級のシステムエンジニアになることを目指すことが、自身・企業・クライアントのそれぞれにとって合理的に望ましいと考えることができるのです。

このように、スキルアップと収入増の関係性がシステムエンジニアの最大の魅力であると考えた場合、二つの注意点があります。

注意点1:スキルアップを望める職場選び

一つ目は、その職場でスキルアップが望めるのか、という点です。これは、新卒入社した場合や他業種から中途入社した場合においては、OJTを含めた研修制度がどれほど充実しているのか、という点になります。また、ある程度の年次を経て若手から中堅となってきたときには、これまでに経験してきたプロジェクトフェーズがどういったものであったのか、あるいはプロジェクトマネジメント職を担ってきたのか、という点が重要になります。このどちらも、システムエンジニアとしてのスキルアップに重要な要素になってきます。

注意点2:自分のレベルに合っているかどうか

二つ目は、その企業が目指す労働分配率・労務単価・提供サービスのレベルが自分にあっているのか、という点です。システムエンジニアが、フリーランスへの転向も含めて、キャリアアップとしての転職が多い一つの理由だと思われますが、企業はマーケットで生き抜くために自分たちが達成すべき適切な労働分配率・労務単価・提供サービスのレベルを見極めているものです。そして、クライアントとは一度限りではなく、継続的な取引関係を維持したいとも考えています。そのため、例えば二、三人のシステムエンジニアが集団から頭一つ抜けたスキルを持っていたとしても、おいそれと労務単価を上げることはできません。将来的に、継続して一段上のサービスを提供できる保障がないためです。

そうなると既にスキルアップした人にとって、今の企業は頭打ち状態になってしまいます。このような場合は、キャリアアップとしての転職を考えることが望ましいでしょう。

システムエンジニアは残業が多くてきつい仕事なのか?

残業があるのは確か

残業がある仕事であるのは間違いないのですが、“多くてきつい”か否かについては個別事情があり判断し難いです。これは、諸個人によって長時間労働に対する耐性が違う、という意味ではありません。残業が多くてきついのか、残業が出来なくてきついのか、残業してもきついのか、プロジェクトの状況や本人の働き方・スキルによって異なる、という意味です。

例えば、先に説明したプロジェクトの各フェーズに照らして考えて見ましょう。
一番最初はクライアントの“希望”を深堀するフェーズです。ここで訪れるきつさは、直面する課題の解決は残業によって改善されないことにあります。

期待される成果に至るために必要なのは作業ではないため、残業をして時間をかけたところで解決に至れません。クライアントとの限られた会議の中で、適切に“希望”を理解し意味あのある“システム案”に落とし込めるのか。ここでは、そういったきつさがあります。

次に、“システム案”を書き起こす作業です。ここは、納期などの都合があるため残業してでも早く、良いものを作り上げるために奔走する価値があります。徐々に残業が増えてきて、きつさを感じ始めることがあるでしょう。

最後のシステム実装・開発フェーズは残業が当たり前になってくるのが通例です。このフェーズで工数が必要になることは当たり前なので、常識のあるプロジェクトマネージャーであればこのタイミングを見越した予算を編成し、プログラマの増員などを図ります。しかし残念ながら、このフェーズにおいては、いくら残業してもシステムが完成しない悲惨な状況に陥ることがあります。こうなってくると、抜本的に前工程の見直しやプロジェクトマネージャーの入れ替えなどを行うなどの外科的手術をしないと、いつまでも時間と人手だけを浪費してしまうことになり得ます。残業しても完成に至らず、肉体的にも精神的にもきつい状態です。

残業がある分達成感を感じらる

システムエンジニアはきつい仕事である場合もあります。ですが、それは残業が多くてきついのではなく、残業してもどうにもならないような場合があり、その際に精神的・肉体的にきついと感じるのではないでしょうか。逆に、そのような逆境を乗り越えてシステムを完成させた暁には、相当の達成感を感じることが出来ます。

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