フリーランス業務委託契約のメリットとデメリット|契約書に書く項目


業務委託のメリット・デメリット

何となく聞いたことがあるかもしれない「業務委託」という契約形態。どこにも属さないフリーランスの方にとっては、無縁なようで、実は身近にある契約形態です。

業務委託には、会社の受付業務に代表される「委任契約」と、契約の相手方に成果物を納品する「請負契約」があり、ITエンジニアやライター、デザイナーなどのフリーランスの方であれば「請負契約」を結ばれる方が多いはずです。

どちらにも共通したメリット、デメリットがありますが、まずは仕事の受託者側と委託者側の、それぞれのメリットを見てみましょう。

受託者側のメリット

・スキルや成果によって、高い報酬が得られる
・時間的な拘束がほぼ無い
・対人関係のストレスがない
・ある程度は仕事を選べる

委託者側のメリット

・社会保険料や福利厚生といった負担がない
・より高いスキルを求めて契約をある程度自由に締結、解除ができる
・必要なときに必要な仕事を依頼できるため、人件費を抑えられる

働き方改革や仕事の効率化が重要視されている昨今では、委託者にも受託者にも嬉しいメリットがあることが分かります。

では、デメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

受託者側のデメリット

・社会保険などの各種保険が利用できない
・有給休暇がない
・確定申告が必要になる
・常に仕事があるとは限らない

委託先側のデメリット

・情報漏洩やその他トラブルが起こった場合の責任は発注者側にある
・納品の遅れや成果物の質などを細かく管理できない
・業務上で得られるノウハウや技術を自社の物にできない

委託者、受託者共に、以上のようなメリットやデメリットがあります。

では、具体的に業務委託契約を締結して報酬を得るまでが、どのような流れになるのか解説させていただきます。

業務委託の流れ

まず、業務委託契約を結ぶためには仕事の内容や報酬、納品期間、報酬の支払い方法などをとりきめる必要があります。その後、契約の締結をもって業務を開始し、期限内に成果物を納品した後に、契約どおりの方法で報酬を受け取ります。

このように言ってしまえば何となく理解したようで、上手くイメージできない方もいらっしゃるかと思いますので、順序立ててご説明すると以下のようになります。

1.仕事内容、納品期限、納品方法、報酬額とその受け取り方法などの確認、提案
2.報酬額やその他要件の変更や、打ち合わせ、交渉などを行う
3.業務委託契約の締結
4.業務開始
5.契約どおりの期限と方法で納品する
6.委託者側で納品物の確認をして、修正などを行う
7.報酬の支払いと受け取りをする

大まかには以上のような流れとなりますが、他に気になる事や要望したい事については、「1.」「2.」の段階で必ず確認して、両者ですり合わせをしておく必要があります。

この時に取り決める内容は、正式な業務委託契約をした後に簡単に変更する事はできないため、漏れが無いようにしっかり確認しておくことが重要です。

業務委託をする時の注意点

簡単ではありますが、業務委託のメリットとデメリット、そしてフリーランスの仕事を業務委託で請け負う流れなどをご説明させていただきましたが、注意点についても把握しておきましょう。

業務委託は、サラリーマンと違って会社に出社する必要がなかったり、自由に時間が使えるという事はメリットですが、その分、自身のスケジュール管理をしっかり行い、クライアントとの連絡も小まめに行うなど、会社経営者のように迅速、且つ確実に業務を行っていく必要があります。

また、自身の事についてだけではなく、クライアントが契約どおりの対応してもらえるかどうか見極める事も重要です。

そこで、業務委託をする際の注意点をまとめると以下のようなことが挙げられます。

・契約期間内にどのくらいの仕事をさせてもらえるのかの確認
・請負契約なのか委託契約なのかを明確にする
・連絡の手段と連絡可能な時間帯の確認
・業務に関わる経費の負担や、報酬の支払いが滞った場合の措置についての事前確認

全て、業務委託契約前に確認しておくべきことではありますが、やはり契約内容を途中で変更したり、一方的に解除する事は簡単ではありませんので、抜けや漏れがないかをしっかり確認して契約を締結しましょう。

また、契約内容を変更しなければいけない事情が発生した場合について、両者の話し合いにより変更を可能とする旨を契約書に記載してもらうとか、予めの確認をしておくという事も、万一の際の保険にもなります。

業務委託契約書の項目と書くべき事柄

仕事内容の確認や交渉も終わり、いざ業務委託にて仕事を発注する、または受注する事となった場合に必ず必要な「業務委託契約書」ですが、実際にどのような項目を書くべきなのでしょうか。

具体的な記載内容を見ていきましょう。

契約書名

「○○制作業務委託契約書」といったように、業務内容を踏まえた書類名にする場合もありますが、実際には「業務委託契約書」と記載する事がほとんどです。

契約が締結するという旨の記載

記載例:「○○株式会社(以下「甲」という。)と△△ タロウ(以下「乙」という。)は、以下のとおり業務委託契約(以下「本契約」という)を締結する。」という一文により契約締結の事実を記載します。

業務内容

実際の業務内容を記載する場所となりますが、業務範囲や量が多い場合は大まかに書きすぎてしまうと後のトラブルに繋がりますので、極力詳細まで記載する事が望ましいでしょう。

業務委託料、業務内での費用について

業務に対する報酬額について記載します。また、業務内で発生する費用や、それらの支払方法と支払日をここで明記して契約します。

フリーランスの方にとっては非常に重要な部分ですので間違いが内容しっかり確認しましょう。

契約期間と更新条件

契約の開始日と終了日を記載します。尚、契約の更新を必要とする場合は更新の際の条件や方法も記載します。

知的財産権の所在

業務を行っていくと、その業務内で得られるスキルや情報、著作物といったものがあるかと思いますが、そのような知的財産の権利をどちらが有するのかといった事を明記します。

報告義務と方法について

受託者による業務の進捗状況や今後の見通しを報告する義務についての記載となります。また、報告の方法やタイミングもここに記載します。

機密保持義務

受託者は、業務上で知り得た機密情報について第三者に漏らしてはいけないという旨を記載します。

また、これは委託者の情報だけではなく、受託者側の秘密情報も該当するため「甲及び乙は…」といった始まりで記載されることが多くあります。

報酬の支払いの遅延や納品物の損害賠償義務

万一、委託者と受託者の間で、相手に損害を与えるような事象があった場合に、賠償の義務を負う事を記載します。

遅延損害金について

受託者が得るべき報酬の支払いが遅れた場合に、法で定められた利息分を支払う義務がある旨を記載します。

契約の解除

双方で契約違反となる行為や信頼関係を損なうことがあった場合に、契約を解除できる旨を記載します。

協議および管轄裁判

もし契約書上の取り決めでも解決できないことが起こった場合は、双方で協議して解決するという旨を記載しますが、解決しない場合はどこの裁判所で訴訟を行うかなども記載します。

委託者、受託者の双方の住所と氏名

最後に、「本契約締結の事実の証として、本書を2通作成し、甲乙の署名捺印のうえそれぞれ1通を保管する。」と記載したうえで、双方の住所、氏名、捺印を行い締めくくります。

業務委託契約書を書く時の注意点

契約書の記載方法は以上のとおりとなりますが、上記までにも少しお話させていただいたとおり、注意点があります。まず、受託者側として特に注意したい「業務内容」についてです。

一般的に契約書は委託者側で作成される場合が多く、高いスキルを少しでも安く得たい委託者側としては、業務範囲を広く取りたいというのが本音です。

そのため、「ホームページ制作」といった一言だけで契約をしてしまった場合に、ITフリーランスとして仕事をされている方にとっては、そのホームページの制作や管理についてまで全てを行わなければいけないという事にもなりかねません。よって、業務内容については、自分の中でイメージしている業務内容とズレが無いように、必ず詳細を確認しておきましょう。

また、委託者側にも注意点があります。委託者としては、仕事を依頼したその人に業務を遂行してもらう事を前提としていますが、中には、業務をまた別の第三者に依頼する「再委託」をされる方もいます。

再委託を想定していない場合においては、再委託の禁止を契約書に盛り込むことも必要となります。

業務委託契約書に印紙は必要?不必要?

さて、契約書もまとまり、双方で署名捺印をして契約書の取り交わし完了としたいところですが、忘れてはいけない大事なことがあります。それが「収入印紙」です。

収入印紙税は、書類の作成者に納税する義務があるため、委託者が負担をすることが通例です。業務委託契約の「委託契約」「請負契約」のうち、「請負契約」の契約書には収入印紙の貼付と割り印の押印にて納税したとみなされます。

なお、収入印紙税の納税額には以下のような違いがあります。

第2号文書

契約期間が3カ月以内で、更新を前提としない内容の場合は200円の印紙が必要。

第7号文書

契約期間が3カ月以上、または3か月以内でも更新についての記載がある場合は、一律で4000円分の収入印紙が必要です。

尚、書類の作成者側が負担する事が通例とお話させていただきましたが、この作成者というのは委託者も受託者も作成者という事になるため、クライアントによっては印紙税を折半とする場合もあります。

業務委託を解除する時の手続き

業務開始となりましたら、基本的には契約を途中で解除することはできません。

しかしながら、やむを得ない事情で契約解除を申告する場合や、単純に契約期間満了となった場合においても、トラブルにならないように解除の方法も把握しておきましょう。

契約の更新を希望しない場合

契約書に取り決めがなければ、特に予めこちらから事前の申告義務はありませんが、大概の場合は1か月ほど前にクライアント側から継続意思の確認連絡があります。

契約更新を希望しない場合はその際に伝えれば問題ありません。

やむを得ず途中で契約解除をしたい場合

先にも申し上げましたとおり、契約は途中で自由に解除できるものではありません。ただし、体調不良などにより業務の遂行が不可能になった場合などについては速やかにクライアントに連絡をします。

これは、契約書にも記載している「報告義務」にも該当しますので、あってはなりませんが、途中で契約解除をしたい場合は早めにクライアントに相談した方が良いでしょう。

契約の解除が認められれば、契約解除の合意書などを取り交して解除となります。

業務委託で得た収入の確定申告の仕方は?

さて、契約書の作成から業務の遂行まで問題なく完了し、あとは報酬を受け取るだけですが、サラリーマンと違ってフリーランスの方は所得税や住民税を自身で計算して納税しなければいけません。

所謂「確定申告」が必要なのはご存じかと思いますが、確定申告には簡易版とも言える「白色申告」と、複式簿記により詳細な申告をすることで65万円の控除が受けられる「青色申告」で分けられます。

どちらも納税をすることの基本部分は同じで、1月から12月までの間に得た収入に対して、控除額や経費を差し引き、その金額に対して定められた税率を掛けたうえで算出された金額を税務署や金融機関、振込による方法などで納税を行います。

他にも国税庁のホームページから、クレジットカードでの納付方法などもありますが、それぞれに注意点や方法が異なりますので、詳しくは国税庁のホームページを参照されることをオススメします。

尚、現在では国税庁のホームページから簡単な入力で確定申告が行える「e-Tax」が非常に便利です。

24時間いつでも確定申告の手続きが行える上、質問に答えていくだけで確定申告書の作成が終わるといった機能もあるため、税務署に足を運ばずに手続きができるといったメリットがあります。

業務委託の消費税は?

確定申告では所得税についてのお話となりますが、忘れられがちなのが「消費税」です。

消費税と言えば、日ごろから買い物をする中で自然と払っているのであまり意識していらっしゃらない方も多いかと思いますが、業務委託での委託者、受託者双方に関係がある税金です。

ただ、そもそも消費税とは「物を買うものが支払うべき税金」ですから、仕事の能力を買った側となるクライアントには支払い義務があります。つまり、受託者としては消費税を請求する権利があるのです。対して、受託者側には消費税の納税義務があるかというと、「売り上げ1000万円以下なら納税義務はない」と決められています。

しかも、仮に1000万円の収入となったところで、最初の2年間は免税となるため納税はその後という事になります。では、これまで1000万円以上の売り上げがあり、消費税の納税をしていた方が、1000万円を下回る収入となった場合はどうすれば良いのでしょうか。

この場合、「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出をもって、免税事業者へ戻ることが可能です。更に翌年、1000万円を超えた場合は「消費税課税事業者届出書」にて課税事業者となり、納税を行います。

いずれにしても課税事業者と免税事業者としての切り替えの際は手続きが必要であるという事を覚えておきましょう。

業務委託の一般的な期間は?

最後に、業務委託の一般的な契約期間についてです。各情報サイトを確認すると「1年が一般的」と言われている事が多いのですが、実際には「1カ月」「3カ月」といったケースもたくさんあります。

これは、フリーランスへ仕事の発注をするにあたって、その職種は多岐に渡るため「一般的に」といっても、なかなか平均的な業務委託期間をお話する事は難しいところです。

例えば、保守業務などで継続的に仕事を受けられるIT関連のフリーランスであれば1年単位で更新をしていくといった事もあり得ますし、専属ではないフリーランスライターなどの単発業務では3か月ほどで業務終了といったこともあります。

受託者であるフリーランスの方にとっては契約期間が長く、仕事を継続的に貰えた方が安定した収入を確保できるという点でメリットとなりますが、委託者側にとっては、契約期間を短く切る事によって、より高いスキルを持った人と出会えれば仕事の発注先を変えられるというメリットを享受したいという思いがあります。

委託者と受託者では契約期間によるメリットが違うため、やはり最初の業務委託契約前の内容確認にて、双方でしっかりと話し合いを行って、互いに納得のいく期間での契約ができればwinwinの関係を築けるはずです。

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