地方法人特別税とは?|計算方法と申告方法と勘定科目について


地方法人特別税とは

地方法人特別税とは、法人事業税と併せて申告納付する国税の一つです。税金の名称に「地方」とついていることや、地方法人特別税の計算の際に都道府県の税額計算をする第6号様式で行っているため、地方税と混同して間違われがちですが、実際には国税として分類されます。

地方法人特別税は、地域格差から生まれる税源の偏りを均等にするため、地方税体型の抜本的改革が行われるまでの暫定措置として、平成20年10月以後開始事業年度から事業税の一部を区分して創設されました。

以前は法人が支払わなければならない税金は、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税の4つだけでしたが、平成9年に消費税の一部が「地方消費税」になり、平成20年には事業税の一部が「地方法人特別税」になり、平成26年には法人住民税の一部が「地方法人税」に移行し、平成27年9月末の決算では7種類となりました。

地方法人特別税は国税ですが、事業税と併せて都道府県に対して申告納税を行い、納付された地方法人特別税は都道府県から国に全額払い込まれ、その後「地方法人特別譲与税」として各都道府県の自治体に再分配される仕組みになっています。譲与税額の2分の1は人口を基準に、残りの2分の1は従業員数を基準に算出され交付されます。

地方法人特別税は法人事業税と一緒に申告納付するので、どちらか一方だけを納付することはできず、どちらか一方だけの税額の納付があった場合には、地方法人特別税と法人事業税の額の比率に応じて割り振られた金額が両方に充当され、それぞれの税の納付があったものとして扱われます。

地方法人特別税の納税後のお金の流れ:納税者→都道府県→国→都道府県

ちなみに、地方法人特別税とは別に「地方法人税」というものがあります。これは地方法人特別税と同じように地域間の偏在性を是正する目的で制定されましたが、元は法人住民税の一部ですし暫定的な措置ではありません。国に対して納税し、納税された税金は国が地方交付税として地方自治体に分配します。

地方法人税の納税後のお金の流れ:納税者→国→地方

名前も似ていますが、まったく別々のものですので間違えないように注意しましょう。

地方法人特別税の計算方法

ではどのような計算方法で地方法人特別税の税額が決まるのかをみていきましょう。地方法人特別税は法人事業税の中から、所得や収入に応じて課される所得割額または収入割額の標準税率相当額を元に計算されます。そのため地方法人特別税額を知るためには、まずは法人事業税を計算して所得割額または収入割額を算出しなければなりません。

また、法人事業税で超過税率が適用されている場合は、標準税率で計算したものが法人事業税(所得割額または収入割額)となり、その所得割額または収入割額に地方法人特別税の税率をかけた金額が地方法人税特別税の税額となります。

計算方法

法人事業税

所得金額又は収入金額×法人事業税の税率=法人事業税(所得割額又は収入割額)

地方法人特別税

基準法人所得割額又は基準法人収入割額×税率=地方法人特別税額

税率

地方法人特別税の税率は、事業開始日と外形標準課税法人であるか否か、所得割額か収入割額かで異なります。

基準法人所得割額の場合

外形標準課税法人以外の法人

・平成28年4月1日から平成31年9月30日までに開始する事業年度43.2%
・平成27年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度43.2%

外形標準課税法人

・平成28年4月1日から平成31年9月30日までに開始する事業年度:414.2%
・平成27年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度:93.5

基準法人収入割額の場合

・平成28年4月1日から平成31年9月30日までに開始する事業年度:43.2%
・平成27年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度:43.2%

地方法人特別税の対象となる法人

地方法人特別税の対象となるのは、法人事業税の申告納税義務があるすべての法人です。法人事業税を支払っている法人であれば、地方法人特別税も納税しなければなりません。

地方法人特別税の申告方法

地方法人特別税の申告は法人事業税と同じ申告書・納付書を使って同時に行います。

申告期限

地方法人特別税の申告は、事業年度開始日以後6ヶ月後から2ヶ月以内に中間申告を、「予定申告」もしくは「仮決算に基づく中間申告」のいずれかと、事業年度終了の日から2ヶ月以内に確定申告が必要となります。

中間申告は原則申告義務がありますが、一定の要件に該当する法人は中間申告については義務がありません。中間申告を予定申告する場合は、〔(前事業年度の地方法人特別税額÷前事業年度の月数)×6〕で算出した金額が予定申告額となります。

確定申告の申告期限は会計監査人の監査を受けるなどの理由で延長の適用を受けている法人の場合は、その期限が申告期限となります。

申告書の提出先

地方法人特別税は国税ですが、申告書の提出先は各都道府県の管轄地域にある税事務所です。税務署ではないので注意してください。

地方法人特別税は損金の額に算入できるの?

法人税の中で損金に計上できない損金不算入項目については、法人税法第38条に定められていますが、地方法人特別税はこの中に含まれていませんので、損金算入が可能です。

地方法人特別税の勘定科目

地方法人特別税の勘定科目は、租税公課の勘定科目を使うという意見と、法人税、住民税及び事業税を使うという意見に分かれているようです。なぜ税理士や会計士などの専門家の間でも意見が分かれてしまったのかというと、監査保障実務指針第63号では、法人税・住民税・事業税についての表示に関する取扱いについて会計処理そのものについての取り扱いについては明記されていなかったからです。

利益に関連する金額を課税標準にして課せられる事業税は、「法人税、住民税及び事業税」として損益計算書の税引前当期純利益金額もしくは税引前当期純損失金額の次に記載する」とは記載されていることから、「法人税、住民税及び事業税」として処理するべきという意見があります。

一方で、法人税法基本通達9-5-2で規定されている通り「租税公課の納税状況等に関する明細書」の事業税の欄に、地方法人特別税を合算した金額を記載すべきという意見もあります。

解釈によって経理状処理が異なるのは、監査にも影響してしまいますので、このような状況を踏まえて企業会計基準委員会は、平成29年3月16日に法人税、住民税及び事業税等の処理について会計基準を次のように取りまとめました。

法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)

損益計算書の税引前当期純利益(または損失)の次に、法人税、住民税及び事業税などその内容を示す科目を持って表示する。

事業税(付加価値割及び資本割)

原則損益計算書の販売費および一般管理費として表示する。ただし合理的な配分方法に基づき、その一部を売上原価として表示することができる。

地方法人特別税の税額を所得割で計算する場合は、「法人税、住民税及び事業税」として処理し、付加価値割及び資本割で計算する場合は、原則「販売費および一般管理費」として処理するというのが結論となるようです。会計基準が発表されたことで、今後処理についても統一されていくと思われます。

地方法人特別税の納税証明書はどこで発行されるの?

地方法人特別税の納税証明書は、各都道府県の税事務所に申請書と必要書類を提出することで発行できます。なお地方法人特別税は法人事業税と一緒に納付しますから、国税ですが税務署ではなく都道府県で納税証明書が法人事業税と合わせて交付されます。

地方法人特別税は廃止されるの?

税制改正大綱により、消費税引き上げ時期に合わせて2017年から、法人住民税の法人税割の一部が地方法人税になることで、地方法人特別税が廃止されることになっていました。しかし消費税引き上げ時期の変更に伴う税制上の措置として、平成29年4月1日以後開始事業年度に予定されていた地方法人特別税の廃止は、平成31年10月1日以後開始事業年度に変更されました。

平成31年10月1日以後開始事業からは、廃止された地方法人特別税は元の法人事業税に戻るため、会計上の取り扱いには大きな違いは生じないと思われます。納付についても現在の納付方法が、法人事業税と同じ納付書で申告納税を行っているので、地方法人特別税の欄がなくなって、法人事業税の金額がその分増えるだけで特に問題にはならないでしょう。

既に平成30年3月期に係る法人事業税所得割の超過税率に係る条例を、改正してしまった地方自治体もあるようですが、消費税増税延期の対応で法人事業税所得割の超過割合に変更がなければ、特に影響もないと思われます。

地方法人特別税の廃止により可能性として考えられる変更点は、以下の申告書様式です。

第6号様式

地方法人特別税の計算欄がなくなり、第6号様式の下にある地方法人特別税の計算欄が不要になる可能性があります。

第6号様式別表14

この申告書については超過税率を適用している都道府県で、基準法人所得割額を計算するために必要となっていますが、地方法人特別税の廃止に伴って不要となる可能性があります。

法人税申告書別表5(2)「租税公課の納税状況に関する明細書」

事業税に含めて表記していた地方法人特別税がなくなるため、法人事業税のみの金額を表記することになる見込みです。

現時点では廃止後の見込みについては、予想という域を超えませんので変更後、もしくは変更時期間近で再度確認をしてください。また変更間近になれば会計システムが税制改正に適応したアップデートが必要となりますので、確認しておきましょう。

地方法人特別税が廃止される理由

もともと地方法人特別税は、都道府県ごとの地域格差による税収の偏りを均一化させることを目的に、法人事業税の一部を国税として徴収し、その後各都道府県に再分配する仕組みを暫定措置として創生されました。

あくまでも暫定的な措置であったことと、地方税収の偏りを均一化するためには、他の根本的な対策が必要との結論に至り、地方法人特別税は廃止されることになりました。

とはいっても暫定的に納税される法人事業税から地方法人特別税に回していたものを、そのまま法人事業税に充てることになるので、徴収されなくなるというわけではなく、納税者側からすると国や地方自治体側の納税後の処理が変わるというだけで、さほど大きな混乱を招くようなことにはならないでしょう。

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