給与取得控除とは?|計算方法と申請書の書き方と特定支出控除


給与所得控除とは

給与所得

給与所得とは、所得税法上で区分されている10種類の所得のうちの1つです。所得税法では、[利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所]の10種類があります。税金の計算方法が、所得ごとに異なります。

給与所得は、勤務先の会社等から受ける給料、賞与などの所得をいいます。会社等から受け取る給与所得は、給与収入から給与所得を控除して、給与所得を算出します。給与収入は、会社との雇用関係に基づき会社から支払われる収入です。

ITフリーランスの方は、会社に所属せず、請負契約等で業務を行っている方もいらっしゃると思います。請負契約の場合は、一般的には事業所得に該当するため、給与所得控除の適用はありません。ITフリーランスの方で、特定の企業に雇用され、給与を受け取っている方は、給与収入を受け取るため、この給与所得控除の適用があります。

給与所得控除

給与所得控除とは、税金の計算する際に、給与収入から控除できる金額のことです。給与所得控除の金額は、給与収入により異なります。

例えば、700万円の給与収入がある場合、190万円の給与所得控除の適用があります。会社員として働く場合、自己啓発のためにセミナーに参加する、仕事の付き合いで自己負担の接待する必要があります。そのような会社員の必要経費を「概算」で計算し、収入から控除するものです。

一般的な会社員は、出張等の必要経費は、会社により費用精算されます。政府が「概算」として必要経費として税法上認められている金額は、実際に会社員が仕事で自費負担している金額よりもはるかに多いものと思われます。

給与所得控除は、現在の実態に合っていないという意見もあります。米国では給与控除のような制度はなく、支給された金額がすべて課税対象となりました。米国以外の国の制度はわかりませんが、これほど金額の大きい給与所得控除が認められているのは、日本だけなのではないでしょうか。

2017年以降は、1,200万円以上の収入のある会社員の給与所得控除の上限が2,300,000円に2,200,000円に減額されました。所得税法では、退職控除と給与所得控除が、会社員の二大優遇税制です。日本の財政はひっ迫しており、雇用形態も変わってきています。

いずれは退職控除と給与所得控除は、縮小又は廃止されていくものと思われます。請負契約が多いITフリーランスの方からすると、この給与控除制度は少し税制上不利に感じるかもしれません。

給与所得控除の計算方法

給与収入

給与所得控除の計算方法を算出するために、まず暦年1年分の給与収入を計算します。給与収入とは、雇用形態で勤務する会社から支給される経済的利益のすべてを含みます。一般的には、給与と賞与の総額が給与収入です。ただし、会社から業務の対価として支給された豪華海外旅行や高価なブランド品についても、時価相当額が給与収入に含まれます。

通勤費は、月15万円までは、非課税となっており、給与収入に含まれません。また、勤続記念品で社会通念上合理性があるものについては、給与収入に含めなくてもよいものとなっています。ただし、原則として、給与・賞与以外にも、「経済的利益」といわれるものについては、すべてその年の給与収入に含めます。ただし、退職金は、給与収入に含まれませんのでご留意ください。

また、ITフリーランスの方の請負契約については、雇用契約と異なるため、請負契約で支給される代金は、通常は給与収入に含まれません。ITフリーランスの方は、請負契約が多いと思いますので、請負契約で受け取る対価は給与収入には含めないでください。請負契約の場合は、契約内容や業務形態にもよりますが、一般的には事業所得になると思われます。

給与所得控除

暦年1年分の給与収入から、給与所得金額を計算します。税制改正により、最近5年くらいで、高額の給与所得者を対象に、給与所得控除額が縮小されました。年度によって給与所得控除の金額が異なりますので、注意してください。

また、転職等で2以上の会社から給与収入がある場合は、給与収入を合計して、給与所得控除の金額を算出します。

例えば、2017年の給与所得控除の金額は、給与収入に応じて、以下のようになっています。

給与収入が6,600,000円以下の場合は、国税庁のホームページをご参照ください。

給与収入が6,600,000円超で10,000,000円以下の場合は、収入金額×10%+1,200,000円

給与収入が10,000,000円超の場合は、2,200,000円(上限)

なお、給与収入が650,000円以下の場合は、給与所得控除は、給与収入の額と同額になり、給与所得に対して、税金がかかりません。この課税されない650,000円と基礎控除の380,000円を足した1,030,000円がいわゆる「103万円の壁」といわれているものです。1,030,000円を超えなければ、所得税がかからず、配偶者控除の対象になります。

そのため、年間1,030,000円を超えないように収入を調整するパートの方もいます。給与所得控除は、実態とあっていないのが現状のようです。最近5年くらいで、高所得者を中心に、給与所得控除額が縮小されましたが、今後もさらに縮小するものと思われます。

給与所得控除の申請書の書き方

源泉徴収票

給与所得控除は給与収入があれば、自動的に適用されます。したがいまして、給与所得控除の申請書というものはありません。年末調整時に会社が自動的に給与所得控除額を算出してくれます。毎年12月に会社から従業員に配布される源泉徴収票から給与所得控除の金額を求めることができます。

源泉徴収票に1年分の収入が記載されていると思います。一番右の「支払金額」からその隣の「給与所得控除後の金額」を引いた金額が、給与所得控除の金額です。給与所得控除後の金額が間違っていることはあまりないとは思います。

念のため、源泉徴収票に記載された「支払金額」と「給与所得控除後の金額」の差額が給与控除の金額と合致するか、一応確認してみてはいかがでしょうか。

確定申告書

医療控除や住宅ローン控除の適用等で、確定申告書を提出する場合は、自分で給与所得控除を計算する必要があります。一表の左上の「給与収入」から、算式に基づいて、給与所得控除の金額を算出します。給与収入から給与所得控除を引いた金額が、給与所得になります。この給与所得の金額を確定申告書の給与所得欄に記載します。

給与所得控除の例外

一般的には、給与所得控除は、給与収入の総額から規定の計算式に基づいて算出します。ただ、自費で経費を支払っている会社員のため例外規定があります。それが「特定支出控除」というものです。

その年の特定支出の額の合計額が、「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」は、その年中の給与所得控除額×1/2です。

例えば、給与収入が10,000,000円の場合、「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」は、1,100,000円となります。特定支出の金額が、1,100,000円を超えると、超えた金額を控除することができます。後述しますが、実際に従業員が負担した金額のみが対象で、会社が精算した金額は対象となりません。また、支払ったことを証明する書類を確定申告書に添付する必要があります。

ただし、会社員の特定支出の額の合計額が、「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるケースというのは、あまりないように思われます。書類の保存要件も厳しく、「特定支出控除」の制度が実際に適用されているかは、非常に疑問なところです。

給与所得控除を受けるための条件

給与所得控除を適用するためには、給与所得を得る必要があります。会社から給与をもらわない人は、給与所得控除の適用がありません。事業所得や雑所得等では、給与所得控除の対象になりません。ITフリーランスの方は、業務の完成を約束し、業務の完成について対価を支払う、請負契約が中心の方も多いと思います。

請負契約の場合は、一般的には所得税法上の事業所得となり、給与所得ではありません。したがいまして、請負契約が中心のITフリーランスの方は、給与所得控除の適用はありません。また、技術サポートは、準委任契約に近いものと思われますが、準委任契約も給与所得ではありませんので、給与所得控除の適用はありません。

ただ、ITフリーランスの方で、特定の企業に所属し、雇用形態で勤務されている方は、給与所得控除の適用があります。その場合は、会社に「扶養控除等(異動)申告書」を忘れずに提出してください。「扶養控除等(異動)申告書」の提出を失念すると、いわゆる「乙適用」といって、源泉所得税を多く取られてしまい、手取り金額が少なくなります。

給与所得控除の上限は?

一般的な給与所得控除の上限は、給与収入によって異なります。給与収入が年間65万円までは、給与所得金額が給与収入と同じになり、給与所得に税金がかかりません。

給与収入が年間65万円を超えると、660万円までは政府が作成した表に基づいて算出されますが、大体給与収入の30%くらいです。給与収入が6,600,000円超で10,000,000円以下の場合は、収入金額×10%+1,200,000円になります。給与収入が10,000,000円超の場合は、2,200,000円(上限)です。

ITフリーランスの方であれば、IT機器や本の購入で、自費で必要経費を負担することも多いと思います。ただし、一般的な会社員であれば、給与に対して約30%の給与所得控除が自動的に認められており、会社員に大変優遇された制度となっています。

繰り返しになりますが、この給与所得控除は、実態とはかけ離れているという指摘がありました。会社員が自費で支出した経費もあるとは思います。ただ、ほとんどの必要経費は会社から精算されるため、会社員が自費で支出した経費は、一般的には収入金額の30%未満ではないかと思います。多額の給与所得控除が認められている制度は、時代にそぐわないものと思われます。

2012年までは、給与収入が10,000,000円超の場合は、給与所得控除の金額は、収入金額×5%+1,700,000円でした。収入金額が多ければ多いほど、給与所得控除の金額も多くなる仕組みになっていました。

2013年から給与収入が15,000,000円を超える場合、給与所得控除の金額の上限が2,450,000円に定められました。

2016年からは、給与収入が12,000,000円を超える場合、給与所得控除の金額の上限が2,300,000円になりました。

2017年以降は、給与収入が10,000,000円を超える場合、給与所得控除の金額の上限が2,200,000円になります。給与所得控除の金額の上限が適用される給与収入が、15,000,000円から12,000,000円になり、2017年から10,000,000円に引き下がりました。

将来的には、給与収入が8,000,000円を超える場合に上限が設定されるかもしれません。また、上限の金額も徐々に引き下げられています。給与所得控除の制度にあまり経済的合理性がないことを考えると、給与所得控除金額の縮小はやむを得ないのかもしれません。

特定支出とは

特定支出の項目

2012年に税制が改正され、給与所得控除の金額以外にも、自費で払った経費を控除できるようになりました。それが、「特定支出」と呼ばれる制度です。特定支出の項目は、以下のように限定列挙されています。

  1. 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
  2. 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
  3. 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
  4. 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
  5. 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
  6. 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
  7. 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
  8. 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
  9. 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

特定支出控除の要件

特定支出控除は、すべてその会社員が支出したものに限られます。会社から精算された金額は特定支出控除の対象にはなりません。この特定支出控除を受けるためには、納税者が確定申告を行う必要があります。また、確定申告時に、特定支出に関する証明書を添付する必要があります。添付する証明書の詳細については、国税庁のホームページに掲載されています。

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