【ケース別】「振替伝票」の書き方・記入例|伝票制について


振替伝票とは

事業主は日々、会社の経済状況の動きを仕訳して帳簿に記録しなければなりません。日付順にその取引を全て記入する帳簿は仕訳帳と言いますが、仕訳帳は全ての取引が一つにまとまっているため、それぞれの取引に関して調整や修正をすることができません。

そこで仕訳帳に全てまとめるのではなく、伝票を使って取引ごとに記録し最終的に伝票から総勘定元帳に書きうつすという方法を取っている事業所が多いです。この時に使用される伝票は取引ごとにいくつか種類がありますが、そのうちの一つに振替伝票があります。

振替伝票とは、現金の入金・出金以外の取引の際に使用される伝票です。最近では事業の仕入れや売上の時に現金が使われることは少なく、銀行口座や小切手、手形などを使用して取引が行われることが多くなっていて、振替伝票の出番も多くなっています。振替伝票は貸方と借方の勘定科目が限定されないので、任意で科目を設定することができます。

また振替伝票は後程説明する1伝票制では、仕訳伝票としてすべての取引を振替伝票だけに起票することもあります。その場合は現金の動きを伴わない取引の起票でも使われます。

振替伝票の書き方

振替伝票には、日付・金額・借方科目・貸方科目・摘要の記入項目があります。

日付

取引が行われた日付を記入します。

金額

取引で動いた金額を記入します。

借方科目

伝票や仕訳帳で、左側に記入される勘定科目です。借方に記入されるのは、仕入れや人件費などです。よく使用する科目で補助項目を作ることもあります。例えば「租税公課」の科目に、補助で印紙税などを作ることもできます。

貸方科目

伝票や仕訳帳では、右側に記入される勘定科目です。貸方に記入されるのは、売上や営業外収益などです。借方科目と同様によく使用する科目に補助項目を作ることができます。

摘要

後から見ても分かるように、取引の内容や購入した品物名などについて詳細を記入しておく欄です。

振替伝票の記入例

銀行と銀行間のお金の移動をした場合

・2017年4月26日にA銀行からB銀行に10,000円振替をした場合

現金以外の取引なので、振替伝票を使って処理します。摘要には、A銀行からB銀行にお金を移動させたことが、後で見返した時に分かるように記入しておきます。

(記入例)

日付:2017/4/26

借方勘定科目/普通預金 借方金額/10,000 貸方勘定科目/普通預金 貸方金額/10,000 摘要/口座振替(A銀行→B銀行)

売上の請求書を発行した場合

・2017年4月10日に取引先A会社に50,000円、B社に100,000円の請求書を発行した場合

請求書を発行した時点では現金の動きはありませんから、振替伝票を使って起票します。摘要には請求書を発行したことがあとから見ても分かるように記入しておきます。

(記入例)

日付:2017/4/10

借方勘定科目/売掛金 借方金額/50,000 貸方勘定科目/売上高 貸方金額/50,000 摘要/A社:請求書発行

借方勘定科目/売掛金 借方金額/100,000 貸方勘定科目/売上高 貸方金額/100,000 摘要/B社:請求書発行

売上が手数料を差し引いた金額で振り込まれた場合

・2017年4月25日に取引先A会社から売掛金50,000円が振り込まれたが、手数料216円を差し引いて振り込まれた場合

預金通帳には振り込んだ相手先の名前と手数料を差し引いた後の49,784円の振込履歴だけが残ることになります。この場合売掛金と振込された金額の差額が手数料となりますので、振込手数料は「支払手数料勘定(費用)」として処理をします。

(記入例)

日付:2017/4/25

借方勘定科目/普通預金 借方金額/49,784 貸方勘定科目/売掛金 貸方金額/50,000 摘要/A会社 売掛金の回収

借方勘定科目/支払手数料 借方金額/216 貸方勘定科目/- 貸方金額/- 摘要/振込手数料

税理士に報酬を支払った場合

・2017年4月30日に税理士に報酬を普通預金から振り込んだ場合

税理士からの請求書には報酬金額20,000円と登録免許税又は印紙税として11,500円、消費税1,000円が請求されていました。この場合、報酬金額と消費税は「支払手数料」、登録免許税又は印紙税は「租税公課」で仕訳をします。

(記入例)

日付:2017/4/30

借方勘定科目/租税公課 借方金額/11,500 貸方勘定科目/- 貸方金額/- 摘要/登録免許税・印紙税

借方勘定科目/支払手数料 借方金額/21,000 貸方勘定科目/普通預金 貸方金額/31,479 摘要/税理士報酬

従業員に給与を支払った場合

・2017年4月25日に従業員に3月分の給料を普通預金から振り込んだ場合

給料の内訳は基本給が300,000円、通勤手当が12,000円、健康保険料が13,000円、厚生年金が10,000円、雇用保険が2,500円、所得税が14,000円、住民税が13,800円です。支給総額は312,000円、控除総額が53,300円、支給額は258,700円です。

(記入例)

2017/4/25

借方勘定科目/給料手当 借方金額/300,000 貸方勘定科目/普通預金 貸方金額/258,700 摘要/3月分給料支給

借方勘定科目/旅費交通費 借方金額/12,000 貸方勘定科目/- 貸方金額/- 摘要/3月分交通費

借方勘定科目/- 借方金額/- 貸方勘定科目/預り金(社会保険料) 貸方金額/23,000 摘要/3月分社会保険料

借方勘定科目/- 借方金額/- 貸方勘定科目/預り金(雇用保険料) 貸方金額/2,500 摘要/3月分雇用保険料

借方勘定科目/- 借方金額/- 貸方勘定科目/預り金(源泉所得税) 貸方金額/14,000 摘要/3月分源泉所得税

借方勘定科目/- 借方金額/- 貸方勘定科目/預り金(住民税) 貸方金額/13,800 摘要/3月分住民税

源泉所得税や住民税を支払った場合

上記の従業員の住民税と所得税を2017年5月10日に市区町村などに納付した場合

(記入例)

2017/5/10

借方勘定科目/預り金(源泉所得税) 借方金額/14,000 貸方勘定科目/現金 貸方金額/14,000 摘要/3月分源泉所得税

借方勘定科目/預り金(住民税) 借方金額/13,800 貸方勘定科目/現金 貸方金額/13,800 摘要/3月分特別徴収住民税

社会保険料を支払った場合

上記の従業員の社会保険料が2017年5月30日に普通預金から引き落とされた場合

社会保険料は従業員が負担する金額は給料支給の際に預り金として計上しているので、支払をした時も預り金となります。健康保険組合や社会保険事務所から送られてくる納入告知額通知書に48,000円と記載されている場合

(記入例)

2017/5/30

借方勘定科目/法定福利費 借方金額/25,000 貸方勘定科目/普通預金 貸方金額/48,000 摘要/3月分社会保険料

借方勘定科目/預り金(社会保険料) 借方金額/23,000 貸方勘定科目/- 貸方金額/- 摘要/3月分社会保険料

振替伝票は手書きでなければいけないのか

振替伝票は取引を記録しておくものですから、きちんと記録できるのであれば手書きである必要はありません。パソコンを使い慣れていない事業所やクライアントの場合、昔からのやり方で振替伝票を手書きで起票するケースもありますが、毎月必ず支払うものや同じ取引先からの振込など、何度も同じ項目を手書きで書くのは大変ですし転記もしなければなりません。

パソコンを使い慣れている人であれば、パソコンでデータベースを作成して入力していく方が楽ですし、比較的同じ項目が予想されるものであれば項目の一つとして登録をしておけば、作業の効率化を図ることができます。

振替伝票の必要性

最初に説明した通り、振替伝票とは仕訳帳を使いやすく伝票にしているだけなので、仕訳帳で実務上問題がなければ振替伝票をわざわざ起票する必要はありません。また会計ソフトを使っている場合なども、振替伝票となるのは仕訳に入力する際の入力画面にすぎませんし、確定申告をする際には仕訳帳となりますので振替伝票を使う必要そのものがなくなります。

会計ソフトやパソコンで処理をしない場合は、手書きで仕訳帳を記入しなければならず、その場合は振替伝票の方が実務上便利でしょうから振替伝票が必要となるでしょう。

ただ、手書きをするにしろ会計ソフトなどで処理をするにしろ、レシートや領収書などは5年間保存をしなければなりませんから、注意してください。

伝票制とは

伝票制というのは、先ほどから出てくる仕訳帳から総勘定元帳への転記を行う代わりに、取引ごとに伝票を起票して伝票を元に総勘定元帳に転記する方法のことをいいます。伝票には入金伝票・出金伝票・売上伝票・仕入伝票・振替伝票の5種類があります。

・入金伝票…現金が会社に入ってきた時に使う伝票です。

・出金伝票…現金が会社から出て行った時に使う伝票です。

・売上伝票…商品やサービスなどの売り上げが生じた際に使う伝票です。

・仕入伝票…商品の仕入れをした時に使う伝票です。

・振替伝票…現金の入出金以外の伝票のことです。入金伝票と出金伝票以外の取引に使用されます。

この5種類の伝票から、使用する伝票の数に応じて1伝票制や3伝票制、5伝票制といった形で会社ごとに決めて経理処理をします。
<h3>1:1伝票制

1伝票制では上の5種類の中から振替伝票の1種類だけを使って経理処理をします。1伝票制の場合は、仕訳帳の内容とまったく同じものが伝票となっているだけなので、仕訳帳がバラバラになったものと言うと分かりやすいかもしれません。そのため1伝票制では振替伝票のことを「仕訳伝票」と呼んで他の伝票と区別します。

使用される取引は全ての取引なので、入金・出金・現金取引ではないものも全部まとめて1種類の伝票だけで賄います。取引が生じた際にどの伝票を使うかをいちいち考えなくていいというメリットがある反面、取引の種類別に分けるわけではないのでごちゃごちゃになってしまいがちです。

2:3伝票制

3伝票制では、入金伝票と出金伝票、振替伝票の3種類を使って総勘定元帳に転記する方法のことです。現金そのものの入金や出金の動きを伴う取引の場合は、その取引内容によって入金伝票と出金伝票を使い分け、現金の動きがない銀行振込や振替、預り金の処理などの取引の際は振込伝票が使われます。

簡単にいうと現金取引とそれ以外の取引を分けたものというと分かりやすいかもしれません。一般的に伝票制を取り入れている会社では、3伝票制が最も多く使われている方式です。

3:5伝票制

5伝票制では、入金伝票・出金伝票・振替伝票・売上伝票・仕入伝票の5種類全ての伝票を使って起票し、総勘定元帳に転記します。3伝票制に売上伝票と仕入伝票が追加されたものなので、出金伝票や振替伝票で起票されていた仕入に関するものを仕入単独の伝票に、入金伝票や振替伝票で起票されていた売上に関するものを売上伝票に単独で起票します。

しかし、実務上5伝票をつかっている事業所は少なくなっており、簿記検定の出題範囲からも削除される項目となっています。

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