エンジニア不足の原因とは?|IT業界の課題と現在行われている対策


エンジニア不足になってしまっている理由

情報社会を支えるエンジニア不足が深刻になっています。

経済産業省が2016年に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2015年の時点で17万人が不足しており、今後はさらに深刻化して、2030年には59万人が不足する事態になるとのことです。

同調査では「IT分野でのさらなる市場成長を促進するためには、不足人材の充足が喫緊の課題」と危機感を募らせ、今後のIT人材の活用・確保に向けた方策をとりまとめてはいますが、今のところ日本人のエンジニア不足が解消に向かっていることを示すデータは何一つ上がってきていないようです。大変残念ではありますが。

ではなぜこのような事態になってしまったのでしょうか。いくつか理由をピックアップしてみましょう。

エンジニア不足になっている3つの理由

「新3K」のネガティブイメージ

近年におけるエンジニアの仕事は「新3K」と呼ばれています。新3Kとは「きつい」「厳しい」「帰れない」です。2000年前後のいわゆるインターネット革命が起きた頃にはIT業界自体が「かっこいい」「最先端」などといったイメージで括られていたものですが、時代は変わってしまったようです。

業界から聞こえてくる話は「コストの削減」「納期の短縮」「長時間労働」といったものが多く、おまけにそれがネットで拡散されて、すっかりネガティブイメージが定着してしまいました。

エンジニアの仕事は低賃金

仕事が過酷なわりに年収が低いというのが大きな問題です。最近は大手インターネット企業やベンチャー企業を中心にエンジニアに高給を支払う企業も増えてきましたが、それはあくまで氷山の一角でしかありません。

IT業界は「多重下請け構造」であり、ピラミッドの頂点にいる元請けから二次請け、三次請けと下に行くに従ってエンジニアの人数が増え、単価が低くなるという構造になっています。ですから元請けと下請けではどうしても所得格差が生まれてしまうのです。

IT技術の進化スピードが速すぎる

現在、Web業界やIT業界の拡大とともに、各企業は事業の幅を広げている状況です。特にWebアプリやIoT技術の発展は目を見張るものがあり、エンジニアにしてみれば最新の技術を習得しても習得した瞬間からその技術が古くなっていってしまうのですから、そういう悪循環に嫌気がさしてしまうのも無理はないでしょう。

スキルの習熟が業界の進化に追いつかず、追いつくためには高い意識を持って日々勉強に取り組まなければなりませんが、勉強したところで単価が上がらず帰れもしないわけですから、エンジニアが不足しているという現状は致し方ないのかもしれません。

2020年問題

近年においては、このエンジニア不足を2020年問題と呼ぶ声もあるようです。2020年問題とは、2020年に開催される東京オリンピックに向けての期待が高まる一方で、オリンピック関連システムの開発が推進され、多くのエンジニアが必要になるというものです。

2016年にマイナンバー制度が導入され、国や地方自治体のシステムはすべて更新が必要となりましたが、これに付随して民間企業、金融機関等もマイナンバーへの対応が必須となり、社会全体でエンジニア不足が改めて露呈しました。

2020年に向けてはさらにエンジニアが必要になるとの試算もありますが、問題なのは東京オリンピック開催以後は開発案件が激減するという予測が出ていることです。このため多くの企業がエンジニアの雇用に二の足を踏んでしまっている状況となっています。

ではエンジニア不足を解消するためにはどうしたらいいのでしょうか。

エンジニア不足を改善するために必要なこと

経済産業省の方策

先述した経済産業省の調査結果で、同省はIT人材の活用・確保に向けた方策をとりまとめていると述べましたが、その方策とは以下のようになっています。

・より多様な人材(女性、シニア等)の活躍促進
・人材の流動性の向上(高付加価値領域への戦略的人材配置)
・個々のIT人材のスキルアップ支援の強化
・IT人材への処遇やキャリアなど、「産業の魅力」の向上
・先端IT人材、情報セキュリティ人材、IT起業家などの重点的な育成強化

 

同省はIT業界の研究・報告を定期的に実施し、現状や課題の把握にも余念がないようにも見えますが、そういった同省の方策を踏まえた上で3点ほどまとめてみたいと思います。

エンジニア不足の改善に必要な3つのこと

多様な人材の活躍支援

経済産業省の調査結果にもありました多様な人材(女性、シニア等)の活躍促進をまず挙げてみたいと思います。これは同省だけではなく、様々な企業で検討された案でもあります。

同省の調査によると、女性やシニアを採用することによって人材不足が解消されたという結果が出ています。また女性の場合は「職場が活性化する」、シニアの場合は「ノウハウの継承が可能になる」というメリットも報告されています。これは女性の人材が職場環境の改善をもたらす可能性があることと、シニアの人材が人材育成に好影響を及ぼす可能性があることを意味していますが、それと同時に「新しい業務知識や技術への対応力が低い」「人件費が高い」「離職率が高い」といった課題も出たようです。

ただし、エンジニア不足の改善という観点で見ると、この多様な人材の活躍支援という方策は少しばかり厳しいと言わざるを得ません。「新しい業務知識や技術への対応力が低い」と指摘されている女性やシニアをエンジニアとして活用しなければいけませんので、そうするにはそれ相応の課題を企業と人材の両者が克服しなければいけないことになります。

小学校からのIT教育

2030年には59万人のエンジニアが不足すると言われていますが、今から小学生や中学生にIT教育を施すようにすれば2030年に間に合う可能性があります。

もちろん教育というのは難しいので一朝一夕にはIT教育法を確立することはできません。しかし、子供たちの関心を増やす機会を作ることはできるはずです。試験や専門的な授業のような場ではなく、子供たちが夢中になれるような遊びやゲームというものを通してITに触れる機会を増やし、プログラミング等に対する抵抗を少しでも少なくすることが大切です。そしてそのように教育された大人が増えることでエンジニアへの世間一般の関心も増えると考えられます。

エンジニアの待遇改善

結局のところ、最も必要になるのは待遇の改善です。経済産業省が同じ2016年に公表した「IT人材に関する各国比較調査結果報告書」によると、「給与・報酬に対する満足度」が日本はワースト1位となっています。

またアメリカのIT人材と比較すると「給与」「労働条件」「充実感、やりがい」「成果に対する報酬」「社内での今後のキャリアに対する見通し」「社内教育・研修や自己研鑽に対する支援」といったすべての項目で大幅に下回る結果ともなっています。エンジニア不足を補うのであれば何よりも待遇の改善が必要なことは間違いないでしょう。

エンジニア不足を改善するために現在やっている対策

パッケージの活用

エンジニア不足の改善には、パッケージを導入するという方法がまず挙げられます。日本の企業のなかには、システムの開発をするのにゼロから行うという理念を持った企業が多く見られますが、ゼロから作ることは自由に作れるというメリットがある反面、必要になるエンジニアの数も多くなるというデメリットももたらします。

パッケージの導入はエンジニアの削減だけではなく、導入にかかる時間の短縮、販売台数の分だけ導入事例が存在するといった長所もあるため、近年では導入に踏み切る企業の数が増えています。

オフショア型の活用

オフショア型とは海外の開発会社や海外子会社にアウトソースすることです。近年では特に東南アジアでオフショア開発をする日本企業が目立っています。

オフショア型のメリットは、国内でエンジニアが不足していても、海外に目を向ければ多くのエンジニアを見つけることができるという点です。言語の違いなどから海外企業をうまく使えないというイメージもありますが、日本に本社がある企業を使用することでそういった問題点は解決できるようです。

また、ベトナムなどの東南アジアであれば距離もそこまで遠くはありませんし、日本企業に合わせて仕事をしてくれるという事例も増えています。

ニアショア型の活用

ニアショア型とは、国内の地方開発企業と連携して開発を進めていくというやり方のことです。一般的な企業の場合、東京の中心部に会社を設立してそこで開発などの業務を進めることになりますが、そのやり方だと都内にいるエンジニアしか活用できなくなるという問題点がありました。

2013年に日本ニアショア開発推進機構が設立され、ニアショア機構がユーザー企業と元請け企業との間に入ることにより都内の企業が地方の企業に発注することが円滑にできるようになりました。現在では地方に目を向ける企業も増え、ニアショア機構がエンジニア不足に一石を投じた形となっています。

インターンシップの活用

エンジニア不足に対してパッケージの導入、オフショア・ニアショア開発を行うというのも1つの解決策ですが、それ以外にもやり方は存在します。それがインターンシップの積極活用です。

多くの企業が即戦力となるエンジニアを求める傾向にありますが、中途採用で採用した人材の場合はもとからその会社に帰属していたわけではないので自社への帰属意識が少ないことも十分に考えられます。やはり会社としては優秀な人材を長期的に確保することが大切になりますので、自社への帰属意識を育てるという目的を重視するのであれば新卒採用の強化という選択肢を選ぶ必要があるでしょう。

インターンシップは自社がどのような会社なのか知ってもらえるというメリットがあり、実際に会社で働く人たちと触れ合うことで入社後の人間関係をイメージすることもしやすくなります。会社に長く留まってもらうためには仕事の内容だけではなくそういった人間関係といったポイントも重要視する必要があります。

エンジニア不足を解消するのであれば長期的な視点で考えてインターンシップを活用するのも解決法の1つと言えるでしょう。

日本のエンジニアがアメリカのエンジニアより給与が低い理由

日本のエンジニアの賃金が低いということは簡単に説明してきましたが、参考までに高収入と言われるアメリカのエンジニアについてみてみましょう。

日本とアメリカのエンジニアの平均年収

まずは日本とアメリカのエンジニアの平均年収を見てみます。

・日本:467万円
・アメリカ:$80,825

$80,825は1米ドル=110円で計算すると889万円となり、なんと422万円もの大きな差になっています。

アメリカの高給企業ランキング

Glassdoorが2013年にアメリカで発表した「エンジニアに高給(年収)を払っている企業ランキング」によると、Yahoo!が1,433万円、Googleは1,398万円、twitterが1,373万円、Appleが1,370万円、Facebookが1,336万円となっています。

ちなみに日本を代表する3メガベンチャーと言われる企業の平均年収を見てみると、グリーが743万円、サイバーエージェントが720万円、DeNAが718万円というデータになりました(各社の2014年度決算資料より)。

もちろん日本の3メガベンチャーの数字は会社全体のものなのであくまでも参考程度ということになりますが、アメリカの大手企業に勤務するエンジニアの給与が高いのは分かっていただけたと思います。

またアメリカでフリーランスとして働いているエンジニアのデータを見ると平均年収は977万円で、さらにはニューヨークでは1,070万円、ロサンゼルスでは1,083万円となり、アメリカのフリーランスエンジニアがさらに高給取りであることが分かります。

ではなぜ日本とアメリカの間でこのような差がうまれるのでしょうか。

アメリカのエンジニアが高収入である理由

アメリカのエンジニアが高収入なのは、エンジニアという職業の社会的地位が高いからに他なりません。日本ではエンジニアになるのに学歴といった規定は特に存在せず、文系学部の出身でも、または大学を卒業していなくてもエンジニアになることが可能です。

しかしアメリカではそうはいきません。アメリカでエンジニアになるには大学や大学院でコンピューターサイエンスを専攻しなければならないのです。そしてエンジニアを目指す人材の多くが博士号を取得します。つまり誰にでもなれる職業ではないのです。

またアメリカは能力主義の社会でもありますので、日本よりも安定雇用という概念が薄いという特徴があります。そのため能力のある人材は積極的にフリーランスとなることでさらに給与が上昇し、上記のようなデータになるものと考えられます。

一方、日本ではエンジニアという職業に対する評価が低くなっています。アメリカではエンジニアは簡単にはなれない職業なので高い評価を受けますが、日本では仕事量が多ければ残業も多いという厳しい労働環境からも分かる通り、高く評価されているような要素はほとんどありません。

近年こそゲームや携帯コンテンツといった分野の開発で高給を得るエンジニアが出現するようになりましたが、業界全体としてみればまだまだ環境は整備されていないというのが現状です。

IT業界の現状

IT技術が私たちの生活に不可欠な存在になって久しいですが、IT業界は深刻な人手不足に陥っています。特にエンジニアの不足はIT企業にとって死活問題となりつつあります。そして近年の総務省の統計を見ると、エンジニアの不足は学生の就職活動という観点からも2つのパターンに分類することが可能です。

IT業界への就職率の低さ

IT技術は生活になくてはならないものとなり、多くのITサービスが世の中に浸透していますが、IT業界に就職を希望する学生の数が増えていないという現実があります。大学を卒業する学生が年に60万人前後いる中で、IT業界に就職する新社会人の数は10%未満というデータになっていますので、これはかなり少ない数字と言うことができます。

原因としては、IT業界のビジネスモデルが学生に伝わっていないことが挙げられます。つまり学生のイメージの中でITサービスと運営会社が繋がっていないということです。IT企業自体が何をしている会社なのか分からないわけですから、就職してどのように働くことになるのかというビジョンを描きづらいのも当然です。

またIT業界についてある程度見識がある学生がいたとしても、IT業界を新3Kというステレオタイプなイメージで見ている可能性も十分に考えられ、そういった場合は当然他の業界を志望することになると考えられます。

IT業界からの離職率の高さ

IT業界の近年の離職率は40%前後という数字になっています。これはかなり高い値です。もちろん離職の理由は様々なものが考えられます。中には新3Kという理由を挙げる人もいるかもしれません。きつい、厳しい、帰れないが新3Kですが、とりあえず帰れないは除外するとして、その中の2つであるきつい、厳しいがなぜそう感じるのかを考える必要があります。

まず結論から先に言うと、大学の延長線上に仕事がないということが挙げられます。IT業界での仕事において、大学で学んだことを活かす場面がないということです。これは企業が求めているスキルを大学で学ぶことができていないミスマッチを意味しています。

先述したアメリカのエンジニアのように、大学や大学院である程度専門的に学び、狭き門をくぐってエンジニア職に就くのとは大きな差です。そして今の日本社会、IT業界がアメリカのシステムを取り入れるのはまず不可能で、残念ながら当面の間は学生と企業の間でのミスマッチが続くものと思われます。

IT業界の将来性

エンジニア不足をはじめ、何かと問題の多いIT業界ですが、今後もITが担う役割は増えていくと考えられています。世界中で進むIoT、ビッグデータ、ロボット、AI分野による技術革新と進化は依然として続いていますが、それを支えているのもやはりITです。また政府がITを重要な成長戦略の一つとしてきたことを考えれば、今後の日本の成長を担うのは間違いなくIT業界だと言えるでしょう。

そして気になる人材不足ですが、外国人技術者を増やすことが最も簡単な解決方法となります。

2014年に安倍政権は高度な技術を持つ人材や専門分野での人材を確保するため、外国人労働者の受け入れを拡大する方針を示しました。

厚生労働省によると2014年の時点での外国人労働者を雇用している事業所数は137,053カ所で前年比8.1%の増加となりました。また外国人労働者数も787,627人となり同9.8%の増加となっています。今後は東京オリンピックもあり、外国人労働者の雇用がさらに活発化する見込みとなっています。

IT業界に絞って見ると、グローバル化が進む日本企業の中でも特にIT企業において人材需要が高まっているのがわかります。経済産業省が実施したIT人材ワーキンググループの資料「IT人材を巡る現状について」によると、2008年から2013年の5年間で、日本で働く外国人IT人材は56%も増加したという結果になっています。

また日本のIT企業で働く外国人労働者の国籍は中国53.0%、韓国16.4%、アメリカ4.3%で、なかでも韓国からのIT人材の流入が前年比13.0%も増加したという結果になりました。

つまり、政府がエンジニア不足を解消するために外国人IT人材の受け入れを推進していることは事実であり、オフショア開発が拡大するとともに低コストで高い技術を持ったIT人材がさらに求められているということになります。もしかしたら今後IT企業は国籍を問わずに優秀な人材を選ぶようになるかもしれず、そうなると職を失う日本人のIT技術者も増えるかもしれません。

ただ、そのような雇用体系を実現させるにはIT企業側も大幅な人材評価基準の再構築をする必要があり、優秀な人材を確保するために国際的な人材評価基準を明確に設定する可能性もあります。もちろんこれは日本のエンジニアにとっても国内にいながら自分の能力を国際基準で評価できるようになるというメリットがあります。

これからのIT業界はいい意味でも悪い意味でも国際化の方向へ向かうことは間違いなく、エンジニアだけでなくあらゆる職種で、国際的な基準を身につけ、応用が可能なスキルを身につけることが大切となるでしょう。

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